長崎雲仙観光ホテル滞在記『魅力が光るアールデコの装飾』

先月宿泊した長崎の「雲仙観光ホテル
80年の歴史をもつ、名クラシックホテルです。

長崎雲仙観光ホテルStudio del Sol

以前のブログで客室のインテリアを紹介しました。
国の登録有形文化財『雲仙観光ホテル』の客室インテリア

今回は”アールデコ”デザイン満載のホテルの共用部についてご紹介します!
大浴場、図書室、ビリヤード室…普通のホテルとは一味違う、雰囲気と格のある空間です。

*

アールデコの大浴場

雲仙は温泉が有名です。
「雲仙観光ホテル」でも素晴らしい温泉を楽しむことができます。

そして大浴場がとっても素敵。
アールデコ風の幾何学模様の壁と天井のデザイン。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

アールデコは1925年~30年代前半にヨーロッパからアメリカ東海岸を中心に華ひらいた装飾デザインです。
幾何学模様や直線的なパターンが特徴的。

 

湯船につかって、壁や天井を見つめるのが楽しかったです!
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

脱衣場の壁にも幾何学のデザイン。
雲仙でとれた火山石が積み上げられています。
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

”温泉ホテルの大浴場”というと、正直ありきたりな空間が多いのですが、ここの大浴場は本当に素敵でした。

温泉好きなので滞在中に6回入浴しましたが、平日で滞在客が少なかったので毎度ほぼ貸し切り状態◎
雲仙の温泉とアールデコを堪能しました。

 

 

次に注目の共用部が、ビリヤード室と図書室です!
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

雲仙観光ホテルは、昭和初期に外国人富裕層向けの避暑地ホテルとして作られました。
長期で数週間滞在するのを想定しており、ホテルには社交ダンスが楽しめる広いディナー会場、ビリヤード室、図書室、映写室などが造られていました。

現在の図書室やビリヤード室は、創業当初からのものではなく近年の改装で造られたものですが、歴史を感じるホテルの世界観に溶け込んだ美しい空間です。

 

大人のビリヤード室

まずビリヤード室。
卓球ではなく、ビリヤードってのがおしゃれですよね。空間もほんまにおしゃれ。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

窓際のステンドグラスが見ごたえあり。
ビリヤードボールと色彩を合わせているように思われます。
幾何学模様でアールデコに通ずるデザインです。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

ビリヤードって日本語で「撞球(どうきゅう)」っていうんですね。

部屋の四隅に置かれた椅子の張地もクラシカル。この空間にピッタリでした。

そして天井が本当に素敵。
雲仙観光ホテルはどの空間にいても天井が素晴らしいです。
昔の建物って、天井に凝ってますよね。

現代マンションの大量生産ビニールクロス貼りの無味乾燥な天井に見慣れていると、こうやって手の込んだ天井って本当にいいなぁと思います。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

映画のワンシーンにでも入り込んだかのような気分になります。

 

人生で2度目のビリヤードも楽しみました。
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

旦那さんは学生時代にマージャンよりもビリヤードに夢中になっていたそうで、「おぉビリヤードだ!」と若者のように目を輝かせながら熱中してました。
残念ながら私はすぐに飽きまして(笑)、球をつくより内装を見つめている方が楽しいです。

 

 

 

クラシカルな図書室

次に図書室をご紹介。
タイムスリップしたかのような錯覚に陥る空間です。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

歴史、旅、デザイン…いろんな本があり、借りてお部屋で読むことができます。

 

天井のデザインが本当に素敵!
照明が薄暗くて雰囲気があります。
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

レトロな置物や照明、ゲーム(みたいなもの)も置いてありました。
左上のタイプライターは昔ホテルのメニュー表作りなどで実際に使っていたものだそうです。
ちょっと触らせていただきましたが、タイプライターのキーボードって重いですね。
今みたいにブラインドタッチなんてできず、打つのが大変です。

 

図書室は大浴場に近い場所にあるので、温泉に入った後に図書室に寄り、ぶらぶら本を眺めて、お部屋に持ち帰って読書…なんて過ごし方がサイコーです。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

図書室にはレトロな本もありました。
1910年代のファッション雑誌の挿絵集。
”アール・デコのファッション・ブック”
ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

 

アールデコについて

雲仙観光ホテルの室内装飾のテーマは、アールデコxウィリアムモリスx日本の職人技ではないかと私は勝手に解釈しています。
それらのテーマが一貫して、客室にも共用部にも見受けられました。

なかなか近年のホテルでは見られないようなデザインや装飾の宝庫ですので、インテリア好きな人にはたまらない空間だと思います。

長崎雲仙観光ホテルStudio del Sol

 

ちなみに今日のブログで良く出てきた単語「アール・デコ」

良く「アール・ヌーヴォー」と対比されて出てきます。

「アール・ヌーヴォー」は19世紀末にヨーロッパを中心に起きた芸術運動。
花・植物・女性などをモチーフにした、曲線を多用したデザインが特徴的です。
一品一品職人が手作りするような緻密なお金持ち向きの芸術。

この間上野で展覧会をしていたクリムトはアール・ヌーヴォーの代表的な芸術家です。

Gustav_Klimt_ユディト1

 

一方で「アールデコ」は1910~30年代にパリから始まり欧州やアメリカに広まっていったデザインです。
四角、直線などの直線的、繰り返し、単純明快で大量生産しやすい幾何学的なパターンが特徴的。
雲仙観光ホテルの浴場の壁や天井のデザインはアールデコです。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

 

もしアールヌーボーとアールデコがごっちゃになりそうになったら、こんな風に覚えてみるといいかもしれません。

アール・ヌーボーは発音からして曲線的な感じ
アールヌ~ボ~ボ~くにゃ~

アールデコは発音からして直線的な感じ。
アールデコ、デコッ、デコデコカクカク。

ぜひ音で覚えてみてください(笑)

 

とはいえ、やはりそのデザインを実際に見るのが一番手っ取り早いですし、確実ですし、何より楽しいです。

 

アールデコのお勧めをいくつかご紹介します

 

【東京都庭園美術館】

都内の白金台にある東京都庭園美術館はアールデコ装飾が有名です。
7月20日〜9月23日まで特別公開していますので、アールデコの空間に浸ってみたい方はぜひ行ってみてください!

Casa BRUTUS 〈東京都庭園美術館〉で人気の建物公開展が今年も開催。

東京都庭園美術館

 

【映画「華麗なるギャツビー」】

デカプリオ主演の「華麗なるギャツビー」にはアールデコの装飾がたくさん出てきます。
1920年代のニューヨークが舞台。ファッションも見ごたえがあります。
amazon primeで199円でレンタル可

華麗なるギャツビー(字幕版)

 

【アールデコに関する本】

アールデコの基本について知るには、この本がオススメです。(クリックするとamazonリンクに飛びます)

アール・デコの時代 (中公文庫)

 

ローリングトェンティーズと言われる1920年代のアメリカの社会情勢、歴史背景について深く知りたいという方はこちらの本も。
いろんな視点で書かれた論文が収録されており、かなり分厚いレポートです。

アメリカ1920年代―ローリング・トウェンティーズの光と影

 

 

時代背景が分かると、同じ建築やデザインを見ていても面白いですよね!
旅はいつも学びのきっかけになります。

ホテルのインテリアレポ「雲仙観光ホテル」

雲仙観光ホテルは見所がたくさん。
またそのうちにディナー会場やバーのインテリアについてもブログに書きたいと思います!

今日はここまで。チャオ~!


(インテリアコーディネーター山口恵実のブログ, Studio del Sol)