今インテリア業界で注目されているキュレーションホテル桃山雅苑@熱海に宿泊してきました。
このホテルは熱海市桃山町に経つ築40年の元保養所を大幅にリノベーションした空間で、現代アートコレクターでもあるオーナーの別荘兼キュレーションホテル*です。
(*目利きにより選び抜かれた伝統建築素材・伝統工芸やアートのある空間で滞在できるホテル)

桃山雅苑はロンドンで長年トップインテリアデザイナーとして活躍されてきた澤山乃莉子氏がインテリアデザインしました。
澤山乃莉子氏は私が尊敬するインテリアデザイナーの一人。
西洋のインテリアセオリーに和の伝統素材や伝統工芸を融合させた空間を得意としており、そこから生み出される空間は世界トップレベルです。
桃山雅苑のメインラウンジ
桃山雅苑のデザインコンセプトは「美の伝統を革新的デザインで未来へ繋ぐ」
デザインの中には「熱海の自然」や、熱海が誇る「能や芸術・工芸のエッセンス」が散りばめられています。
見所が多すぎて1回ではブログに書ききれないため、今日はメインのラウンジをご紹介します。
天井高3.9m、約100㎡の大空間。
ソファで読書をしたり、軽食をとったり、窓から自然を眺めたり…滞在者が自由に過ごせる空間です。

真っ先に目に入るのが大きな鉄のアート。大樹の枝葉のように鉄の造形が天井まで駆け上ります↓

デザインのインスピレーションは日本の囲炉裏だそう。
中心にはバイオエタノールが置いてあり、夜は火を囲んでキャンプファイヤーのように過ごせます。
奥の壁には熱海の山が描かれています。これは左官職人が描いた左官アート↓

違い棚には茶器が並べられ、中心には鹿の木彫が飾られていました。
この木彫は平安時代初期のもの。幕末期に日本からヨーロッパに流出したアートだそう。
そして反対側の壁には大きな富士の絵が。こちらは琳派による富士の屏風絵(1800年頃)↓

こちらも幕末期に日本からヨーロッパに流出したものを、ロンドンの東洋美術ギャラリーから買い戻したものです。
200年前のものとは思えないモダンな絵でした。
ちょうど私が桃山雅苑に宿泊したとき、熱海のMOA美術館で尾形光琳の「紅白梅図屏風」(国宝)が特別展示されていました。
琳派の国宝を美術館で鑑賞したあとに、ホテルで琳派の作品をお茶を飲みながら真近で見られるとは!
なんという感動の体験でしょう。
ラウンジにはダイニングスペースもあります。

メインのテーブルは伊勢神宮のお社をモチーフに澤山乃莉子氏がデザインし、大工により間伐材*で制作されています。
(*間伐材…樹木を健康に育てるために過密になった木々の一部を計画的に伐る(きる)作業により伐採された木材)
テーブルの奥にはひし形のウッドパネルを背景に、コンソール、アート、ランプが飾られています↓

館内の家具類はほとんど全て国内生産品ですが、ランプ類の多くはイギリスからから輸入しています。
このようなデザインのランプはイギリスには豊富にありますが、日本にあまりないのが残念なところ。
そして私のお気に入りがこの本棚↓

ここにはインテリアデザイナーの澤山乃莉子氏がロンドンから持ち帰ってきたイギリスの一流インテリアブランドのカタログ並べられていました。日本では手に入らないブランドのカタログばかり。
「ご自由に手に取ってお読みください」ということで、お茶を飲みながらカタログを眺めて過ごしました。

ラウンジだけでも見ごたえがありますが、4種類ある客室も大変素晴らしいです。
長くなるので客室は次回にまとめたいと思います。
「桃山雅苑」は英国を代表するインテリアデザイン誌『Design et al』の「The International Hotel & Property Awards 2021」に入賞しています。
このデザイン賞のレベルが凄すぎて(豪華なレジデンスはもちろん、ホテル、クルーザー、プライベートジェット等)、見てるだけで興奮して鼻血が出そうになります。
世界最高峰のインテリアデザイン、ご興味ある方は宜しければクリックしてご覧になってみてください↓
Design et al
また桃山雅苑についてはこちらに詳しくまとめられています。
図面やBefore&Afterの写真なども載っていますので、よろしければご覧ください↓
BABID キュレーションホテル第3号 熱海 桃山雅苑