オーダー書アートの流れ(千代田区オフィス)

「物よりコト」というキーワードは何年も前からCMでも使われてきましたが、コロナ禍で外出が規制される中「コト消費」がなかなか進まなくなりました。

その代わりに最近増えているのが「自分や家族のためにストーリーのあるモノを手に入れたい」という欲求です。

特にインテリアの仕事をしていて感じるのが「手間がかかっても多少金額が上がっても、思いやこだわりがつまった1品を手に入れたい。そして長く大切に使いたい」というご要望が増えていることです。

もちろんプロにインテリアコーディネーターをご依頼いただくようなお客様は、もともと「インテリアにこだわりたい」と思っていらっしゃるわけですが、その中でも家具やアートを「既製品ではなく自分仕様にオーダーで作りたい」という方が増えています。

そんなこだわりを実現した事例についてこれから何回かに分けてご紹介したいと思います。
第1回目の今日は「書アート」についてです。

会社のサービス名をアートにできないか?

2020年9月に施工した東京千代田区のオフィスの事例です。会議室を和室にリフォームしました。

Before
良くあるグレーのタイルカーペットが敷かれた、ごく普通の会議室でした↓

オフィスインテリアデザイン

↓↓

After

ここに畳の小上がりを作り、壁を施工し、スタイリッシュな和室に変身させました。

書アート 東京アート&インテリアコーディネート

和室の中心に飾った書アートは、書家の宮村弦先生に特別に描いていただいた作品です。

クライアント企業のサービス名である「IX(ナイン)」を題材にしています。
英数字を書アートに昇華させるという面白い試みでした。

portfolio書アート納品

なぜ書アートをオーダー制作したのか?

このオフィスリフォームの話を打診された当初から「和室の中心にはクライアントの象徴となるような書アートを飾ろう」と私は思っていました。
和室の床の間のような、皆の意識が集中する”見せ場”を作りたいと思ったのです。

そのためプロジェクトがスタートするとすぐに、リフォームのプランニングと並行して書アート探しも始めました。
渋谷区神宮前にあるcarre MOJI(キャレモジ)に行き、書アートの候補をいくつか選びました。
その候補の中に宮村弦先生の作品もありました。


候補はお客様にも大変気に入っていただいたのですが、選定の過程でこんな質問がありました。
「山口さん、我々のサービス名がこんな風に描かれたらかっこいいですね…できればナイン(「IX」か「9」)でアートを製作できたらなと思ったのですが、そんなことは可能ですか?」


それはとても良いアイデア!!ぜひ実現しましょう!!

…ということで、すぐにキャレモジに相談をしたところ、宮村先生もオーダー制作を快諾してくださいました。

そこから「IX」書アートの製作がスタート。

リフォームと並行して、クライアントも巻き込んでのアートプロジェクトが始まりました。

オーダー書アートはどんな流れで製作するのか?

①まず題材とサイズを決めました

題材は「IX(ナイン)」という英数字、サイズはW1100xH700mmと決めました。
弊社が作成した内装の3Dイメージも、キャレモジ・宮村先生に共有しました。
「書が飾られる場所」がどのような空間なのかイメージしていただくためです。

オーダー書アート オフィス会議室デザイン
東京アート&インテリアデザイン事例

サイズが決まれば見積もりが確定しますので、契約を締結して書アートの制作開始です。

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②サンプル画から1枚選ぶ

書アートサンプルStudio del Sol

2週間程経って、キャレモジからデータが6枚送られてきました。
「この中でどのイメージが良いか1枚選んでください」とのこと。

同じ「IX」という文字でもいろんな表現がありますね!これらを見るだけでワクワクします。
あくまで下書きのため本番も同じように描けるとは限りませんが、異なる6パターンの表現の中から、どの方向性が良いか選んでいきます。

データはクライアントにも共有して、候補を選んでいただきました。
最終的には前列真ん中のイメージで進めることに決まりました。
まるで人が手を広げて羽ばたこうとしているかのよう。クライアント企業のイメージにぴったりです。

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③本番画から1枚選ぶ

書アートサンプルStudio del Sol

②から約3週間経って、今度は本番画が上がってきました。
ここでも6枚候補がありここから1枚選んでくださいとのこと。

書画は一枚一枚手で描くものですから、完全に同じものはできません。
特にこのような抽象的なデザインの場合はなおさらです。

このデータもクライアントに送り、社内で選んでいただきました。
最終的に、勢いがありバランスが良い左上に決定しました。

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④額装スタイルを決める

書アートサンプルStudio del Sol

最後に額装スタイルを選んでいきます。
同じ書画でも、どのような額にいれるか?何色のマットにするか?で印象が全く変わります。
白いマット、濃紺のマット、シルバーと黒の額など、4パターンの額装をキャレモジに提案していただきました。
最終的に左上に決まりました。
3Dに当てはめた設置イメージ↓

東京アート&インテリアデザイン事例

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⑤そして納品

portfolio書アート納品

リフォーム工事の最終日にアートを現場に届けていただきました。
内装施工の職人が取り付けしています。

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⑥完成

空のような壁紙(フランスCASADECO)を背景に、IXの書アートが手を広げて空に飛び立っているようです。

portfolio書アート納品

この書アートを見た瞬間に私の頭に思い浮かんだ言葉は
「飛翔(ひしょう)」
空高く飛びめぐること。

クライアント企業のさらなる成長の願いが、この書に込められている気がします。


今回オーダー製作をしてとても良かったことが、アートが完成するまでの過程をクライアント企業の皆様と共有できたことです。
通常ですと「完成されたアート作品を選んで買う」という行為のみですが、
今回は皆でサンプル画を選んだり、本番画を選んだり…製作していく過程を一緒に楽しむことができました。

「自分たちのアートがどんな風に完成するだろう」

ワクワクドキドキする気持ちを社員の皆様と共有できたことも素晴らしい体験でしたし、何より完成を大変喜んでくださったことが嬉しいです。

オーダー書アート 東京マンションアート&インテリアコーディネート


「オーダーアート」というと「実物が見られないので不安」と思われる方が多いと思います。
実際その気持ちは良く分かります。

例えば油絵やアクリル画ですと、下絵を描くことも大変ですので、たいていエスキス(簡易的な下絵)1~2点ほどで完成イメージを決めなければなりません。特に多色な抽象画ですと「イメージと違った」となることもあります。(そのギャップもサプライズとして楽しめればよいのですが、そうでない場合もありますよね)


しかし書アートのオーダー制作については、今回ほとんど不安を感じずに進めることができました。
サンプル画や本番画の候補が複数あり、そこから選ぶことができたために「イメージしていたものと違う」ということが避けられました。
これは墨と和紙で描ける書画ならではの良さだと思います。


コロナ禍で家にいる時間が長くなり「絵を飾りたい」と思っている方も多いと思います。
自分のこだわりを実現できるオーダー書アート、ぜひご自宅に飾ってみてはいかがでしょうか?


Studio del Solはアートの相談も承っております。
書アートはもちろん、油絵、アクリル画、ミクストメディアなど幅広い作品から、お客様の好みやインテリアに合う絵をご提案しますので、ご興味ある方はぜひお問い合わせください。

インテリアコーディネーター山口恵実
Art & Interior Design, Studio del Sol
外資経営コンサルタントからインテリアデザインの世界へ。日本の住宅は殺風景で無個性なインテリアが多いです。もっと多くの人にインテリアの楽しさを知ってほしい、もっと自分のスタイルに挑戦してほしいと心から思っています。
Blogでは辛口な視点も加えつつ、インテリアのあれこれや事例の解説を行っています。
インテリア、奥が深くて面白いですよ。

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