無料で見学できる美の宝庫、旧前田侯爵邸へ

インテリアデザインの仕事でアウトプットと同様に重要なのが、良質なインプットです。
プロジェクトを重ねるごとにスキルは向上していくけれど、良質なインプットを続けないと、どこかで行き詰まったりマンネリ化する恐れがあります。

インプットの方法は、本や雑誌・インターネットで情報収集したり、学校やセミナーに行って学ぶなどいろんな方法がありますが、特に重要なのが「良質な建築やデザインを実際に見に行くこと」

やはり実際に見て体感に勝ることはないと思います。

お金と時間があれば国内や海外へもっと積極的に旅したいですし、東京都内や近隣の建築ももっとみたい。
常に見たいところがあり過ぎて全然見きれません!

私が特に好きなのが、大正~昭和初期に建てられた皇族や富豪の館です。いわゆる「洋館」と言われるもの。

旧前田家本邸

「洋館」は横浜、神戸、長崎など港町に多いイメージですが、実は東京都内にもたくさんあります。

今でいうソフトバンクの孫社長やユニクロの柳井社長みたいな超大富豪が、大正~昭和初期に莫大な資産をつぎ込んで建設した邸宅や皇族の屋敷には目を見張るものがあります。

西洋に負けない。日本人の誇りを見せつけたい。日本人にもっと良いものを知って欲しい。そんな時代ならではの意気込みもヒシヒシと感じられて、現代の建築にはない面白さだと思います。

 

今日はつい先日訪れた目黒区の「旧前田家本邸」についてご紹介します。
加賀百万石前田家の16代目の当主、前田利為(としなり)候が昭和3年から2年かけて建設した超豪華すぎる邸宅です。

旧前田家本邸

場所は東京大学駒場キャンバスに隣接しています。
実は東大と前田家はいろいろと縁があり、東大の本郷キャンパスも前田家の屋敷跡です。

 

「旧前田家本邸」は目黒区の駒場公園内にあります。
東京の閑静な住宅街から、急にイギリスに瞬間移動したような気分になりますよ!

旧前田家本邸

この建物は建設された当時「東洋一」と称賛されたそうです。
一歩足を踏み入れると重厚感とその豪華さに圧倒されます。

イギリスやフランスから一流の資材・家具などが輸入され、国内の優秀な設計士、技師がチームを組んで建設されました。
まさに昭和初期の最高峰の技術と芸術が凝縮した空間。旧前田家本邸

広大な邸宅にはたくさん部屋があります。
全部は紹介しきれないので、特に気になった場所をご紹介します。
館内は写真撮影OK(フラッシュは禁止)です。ここに掲載した写真は全てiphone 11で撮影しました。

 

左右対称(シンメトリー)の窓に囲まれた豪華なマントルピース。
旧前田家本邸

左右対称は西洋の建築・デザインの世界で「美しい」と言われる基本的な配置方法です。

ヨーロッパでは家具の配置も庭の作りも基本的には左右対称。
ホテルの客室インテリアも、美術館も、とにかくなんでも左右対称です。
この配置、やり過ぎると日本人には堅苦しく感じられるかもしれません。

 

豪華な洋館には各部屋にほぼ必ずマントルピース(暖炉)がついています。
たいてい部屋毎に異なる種類の大理石が使われており、その豪華さにいつも目を見張ります。

「この部屋にはどんな色・形のマントルピースがあるだろうか?」見比べて周るのが面白いですよ!

旧前田家本邸

 

また洋館見学の際にぜひ注目頂きたいのが、照明のバリエーションです。
全ての部屋で異なる照明がつけられていて、ほんとに見飽きない!
照明デザインにはロマンが詰まっています。

旧前田家本邸

照明は明るくする機能面だけでなく、装飾面でも重要な役割を担っている。
もっとデザインとして照明を取り入れるべき。
照明の取り入れ方については、現代の日本住宅のインテリアは、まだまだ改善の余地があります。

インテリアコーディネーター/デザイナーとして、
装飾性の高い照明をつける楽しさを、もっと多くの方に伝えていかねば…とひしひしと痛感しています。

 

東洋一の邸宅は細部にも手を抜きません。
”美は細部に宿る”
貴重な壁紙「金唐革紙」、チーク材の壁パネル、透かし彫り、家具の取っ手、ひとつひとつの細かい部分まで美しい。

旧前田家本邸

旧前田家本邸

 

もちろんすべて建設当初から残っていたわけではありません。
平成28年から2年半にわたる修復期間を経て、今のように建設当時の美しさがよみがえっているのです。

旧前田家本邸

というのは「旧前田家本邸」に限らず、明治期~昭和初期に作られた邸宅はだいたい同じような運命をたどっています。
第二次世界大戦の東京大空襲でなんとか戦火を逃れたと思ったら、今度は建物を米軍に占領され、米軍の高官が事務所や邸宅として使うわけですが、だいだい内装をハチャメチャに変えるわけです。
貴重な壁紙の上からペンキを塗り重ねたり、とかね。

そして米軍が帰還した後は邸宅は荒れ果ててゴースト邸宅になり、その後東京都や国がお金と年月をかけて修復して、現在の公開に至る…という運命をたどっています。

 

「旧前田家本邸」も建設当時から残されているものもあれば、その後丁寧に修復されたものもあります。

旧前田家本邸

この建物は今でも幸運に残り続けていますが、同じく前田家の本郷敷地に建てられた迎賓館は東京大空襲で焼失しています。戦争では貴重な建物をたくさん失いました。
本当に残念です。

今は新型コロナウイルス、自然災害、香港問題、米中摩擦…など世の中非常に不安定な状況になっていますが、人災である戦争だけでは絶対に起こしてはならないと強く思います。

 

 

最後に和館をちらりとご紹介。
明治期~昭和期に建てられた邸宅には、たいてい洋館+和館がセットになっています。
「旧前田家本邸」にも広大な和館が隣接されています。

旧前田家本邸

耐震性や保存の問題か一部しか見学できなかったのですが、メインの広間だけ見学することができました。

立派な床の間がある広い和室でした。

旧前田家本邸

 

和館から眺める日本庭園が本当に見事。やっぱり和風建築って庭と室内が連続しているものだなとしみじみ感じます。あくまで室内って「庭を引き立てるための存在」のようなもの。垂直水平な障子と優美な曲線の庭のコントラストが美しい。

旧前田家本邸

 

一方こちらは洋館。同じように庭に面した空間ですが、全然違いますよね。和風建築と洋風建築って根底に流れる精神が違うよな…って建物を見る度に思います。そんな違いを実感できるのも面白いです。

旧前田家本邸

 

見所満載の「旧前田家本邸」
無料で公開されています。ぜひご興味ある方は行ってみてください。
百聞は一見に如かずです!
目黒区HP 旧前田家本邸について


***********
ブログランキングに参加中
ボタンを押すと順位が上がる仕組みです
↓一日一回ぜひポチッと宜しくお願いします!^^


山口恵実(インテリアコーディネーター)
外資経営コンサルタントからインテリアデザインの世界へ。ブログでは施工事例やインテリアのノウハウについて解説。
日本のマンションは画一的・無個性なものが多いです。もっと多くの家を個性あふれる空間に変えていきたい。 インテリアが素敵になると、暮らしの質が劇的に変わります!
>>プロフィールの詳細はこちら
★Instagram>>

アート&インテリアコーディネートのご依頼承っております。 ご依頼・お問い合わせはこちら>>